セミナーレポート「アフターコロナのリモートワーク」

新型コロナウイルスの感染拡大防止対策の一貫として、多くの企業にとって「リモートワーク」という働き方が、いわば有事への一時的措置として、選択肢の一つとして急速に台頭しました。

今回、アフターコロナを見据えた企業の継続的な成長のための施策として「今後もリモートワークを継続するべきか?」「どうすれば、リモートワーク下で生産性を下げずに事業活動を行えるか?」というテーマについて、コロナ前から既にリモートワークを導入しており、生産性や従業員満足度を下げずに事業活動を行っている、ランサーズ株式会社執行役員 平井聡様をお招きし、お話を伺いました。

【目次】

  • 登壇者紹介

  • ABWとは?

  • ABWトライアル、実施してみての感想

  • リモートワークの課題と対応策

  • アフターコロナの組織作り

  • ワークプレイス検索アプリ「Suup」とは

■登壇者紹介

【ゲストスピーカー】

ランサーズ株式会社執行役員 兼

マネージドサービス事業本部長

平井 聡

2008年より楽天株式会社でECプラットフォーム「楽天市場」参画企業のコンサルティング業務に従事。2010年より、外資系ショッピング比較サイトNexTag(ネクスタグ)の日本法人の立ち上げメンバーとして参画し、日本市場での市場拡大、ローカライズ業務に従事。その後、数社事業立ち上げを経て、2014年より、当社に参画し、エンタープライズ向けサービス開発、事業拡大に従事。2018年4月より執行役員に就任。2020年4月よりグループのシクロマーケティング株式会社の代表取締役社長を務めたのち、2020年12月より当社執行役員に就任。

【モデレータ】

Moon Creative Lab / Suup代表

堀口 翔平

新卒で三井物産に入社。風力発電の事業会社管理などを経て、Moon Creative Lab出向。コロナ前の4か月間、米シリコンバレーにて経営者・HR担当役員・有識者などへのヒアリングを通じて未来の働き方についてリサーチ。2020年10月にリモートワークプレイス提供サービスSuupをリリース。

■ABWとは?

ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)とは、オフィスデスクに限らず、働く人が自由に作業する場所を選べるワークスタイルのことで、元々オランダから始まり、グローバル企業で採用するケースが増えています。

今回、ワークプレイス検索アプリ『Suup』をを活用したABW実証実験によって、ワーカーの集中度や仕事への満足度が高まったことがわかっていますが、ABWトライアルの取り組みをランサーズ株式会社・平井様はどう評価しているのでしょうか?

■ABWトライアル、実施してみての感想

Suup堀口:今回、ランサーズ様の複数の社員に『Suup』を活用したABWを実践してもらいました。このABWトライアルに取り組んだ背景と、結果や効果についてどう感じていらっしゃるか率直に教えてください。

平井様:新型コロナウィルス感染拡大を契機に、より自由なワークスタイルを提供したいと思い、Suupを利用しました。「好きなところで働く」という機会の提供は、社員の満足につながったと思います。

具体的には、ワンルームや1Kといった居住環境の社員が多く、コロナ禍で1日中ずっと家にいることになりかねません。このような状況では生産性があがりにくいと感じていたので、気分転換できる環境を会社として提供できたことが良い機会でした。

■リモートワークの課題と対応策

堀口:リモートワークを推進してきた中でのメリット・デメリットを、特に現場推進の観点とマネジメントの観点から教えていただけますでしょうか。

平井様:私たちは、新型コロナウィルスの感染拡大状況が収束に向かっても、リモートワークと対面での仕事をハイブリットで推進していく予定です。今なお、出社を必須にせず、自由と責任を提供しながらフレキシブルなワークスタイルを提供しています。

これまで、リモートワークを推進してきた現場推進の観点でのメリットとしては、働く場所や時間のフレキシブルさにより、社員が主体的に働く環境ができている点です。この影響により、生産性があがっていると感じています。

一方、デメリットは、コロナ禍で入社した人については、チームや会社との関係の質があがりづらいことです。彼らは、不慣れな状況ながら仲間とコミュニケーションを能動的にとる必要があり、マネジメント観点・チームビルディングの観点からも、関係構築の苦労があると感じています。

堀口:よくあるリモートワークの課題として以下のようなものがあるかと思います。御社として、特に取り組まれた点はありますか?

平井様:すべて課題感としては共有できますが、特にマネジメント観点で取り組んだ部分は「帰属意識の醸成」に対する対応です。全社でオンラインでの決起会やイベント開催を行っていますが、エンジニアチームもこれらに力を入れており、テクノロジーを駆使してリッチなユーザーインターフェースをあえて構築しています。

表彰なども行いモチベーションを共有しているほか、全社で集う場では、オンラインでのチャット機能などを活用し情報共有をしっかり行っています。経営会議など機密性の高いものも、あえてオープンにしていくようにしており、質問ができる機会を作るなどフラットに情報共有のしやすい環境を作る工夫をしています。

堀口:画像からコメント欄の盛り上がりも見えますね。

平井様:コメント欄が盛り上がると、関心が強くない参加者にも派生していくところも感じます。エンジニア開発部の部長が主体的にやっているという点も影響が大きいです。

堀口:事前のアンケートで一番共感が得られたのが「コミュニケーションの取りづらさ」という点でした。リモートワークでは、日頃のちょっとした会話が減ったり、MTGをわざわざ設定しないといけない/電話するにも事前のチャットが必要で連絡しにくいなどの声があがりました。何か取り組んでいる点はありますか?

平井様:リモートワークを円滑に行うためのルールを設定しました。リモートワークの社内TIPSを設定・共有して、オンライン会議のルールを定めたり、セキュリティのルールに関しても細かいところまで丁寧に設定しています。

生活様式が変わると何が正しいのかがわかりにくくなるところがあるので、人事が主体的にルール設定を推進できた点が良かったと思います。営業活動もオンライン化しているので、クライアントワークにも役立ったと考えています。

堀口:リモートワークWayの3列目に記載のある「普段の3倍コミュニケーションに気を付ける」という点も非常に面白いですね。事前のアンケートでは、「リモートワーク禍で成果をちゃんと評価してもらえるか不安を感じている」という声もありました。

平井様:成果をどう見えるようにするかの仕組みが重要だと考えています。営業活動においてもKPIをはじめとして指標を可視化しながら、個人の作業がどの事業のどのKPIにどう紐づいていくかを明確にすることが重要です。ここの設計をしっかり行うことで、オンラインでも結果が見える状態になっていくと考えます。ただ、モチベーションが保てているかといった心理変化を把握するための”検知”が難しくなったとは感じています。

堀口:そういった”検知”の難しさについてはどう考えていますか?

平井様:私たちもPDCAを地道に回している段階ですが、「人事機能の重要性」というのは強く感じています。採用だけではなく、その先で、モチベーションを落とさないようにするための全社的な仕組みやメンタルケアが重要です。弊社では、「ナナメンター」という縦の組織ではなく組織を横断したメンター活動をしています。他の部署の上長が別の部署の社員をメンタリングするようなイメージです。

堀口:面白いですね。SuupでのABWトライアルの際、これまでのSuupの利用のされ方として個人ワークが多かったのですが、2人が同時に同じ場所にチェックインしている履歴が何度かありました。利用者にヒアリングしたところ、一緒に励ましあいながら作業をするようなニーズも見えました。サードプレイスに同僚と行くというのもメンタルケアの一つの手段になると感じました。

平井様:そうですね。家や年齢の近さ、ランチに行くような感覚で、Suupを使って仕事するというのも良いケースだと思います。

堀口:出社とリモートワークの比率についての質問も多かったですが、この点はどう考えていますか?

平井様:自由にすると、どうしてもリモートワーク利用者が多くなるので、コミュニケーションを増やすために、週1回は出社しようという呼びかけが出てきています。事業部単位で出社比率を決められる裁量を持たせる予定で、出社頻度を増やす工夫はしています。会って話したほうが熱量が違ったりする内容もあるので、MTGの内容により、出社を決めたりするケースも増えています。フレキシブルなワークスタイルを提供できていることは、採用面でもメリットを提供できています。

■アフターコロナの組織作り

堀口:最後に、今後どういった形で組織を作っていきたいかについてお話を聞かせてください。

平井様:ABWを実現する組織として、自由と責任を提供していきつつ、どうハード面の仕組化をしていくかが重要な要素だと考えています。セキュリティを強化しながら、オフィス機能の変化も含めて議論を進め、今実施していることをより尖らせていく予定です。これからABWを推進しようとする企業がいれば、一つ一つのエッセンスが少しでも参考になると嬉しいです。

■ワークプレイス検索アプリ「Suup」とは

『Suup』とは、全国300箇所以上のテレワークスペースが、15分50円から利用できるワークプレイス検索・予約アプリです。多種多様なスペースが登録され、目的や気分に合わせて場所を選べます。

今回ランサーズ株式会社様以外にもABW実証実験を行っており、Suup導入によりABWを実現し、従業員の自律性や生産性を高める効果が期待できます。ぜひこの機会にSuupの法人利用をご検討ください。お問合せはこちらから。

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